「君の名は。」新海誠監督舞台挨拶に行ってきました


なんか、「君の名は。」ネタを雑記カテゴリで続けるの無理があるような気がしてきました・・・



それはともかく、9/17に立川シネマシティで行われた「君の名は。」の新海誠監督舞台挨拶。
チケットが運よく取れましたのでうほほーいと行ってきました。
今回はその様子をお伝えしようかと。

キーワードの羅列でしかないメモを記憶で補完してますが、まあそう間違ってはいないはず・・・
ただ細かいニュアンスとか監督の真意とか、伝えきれるかいつも不安なんです。貶めちゃいけないですからね。
なので人の語ったことを起こすこういう記事は神経使います・・・

ちなみにこのイベントは珍しく写真撮影可能。
声優やアイドルが出てくるわけじゃないので・・・ということでしょうけれど、珍しいですね。
自分も「望遠ズーム持っててよかった」と思いながらめっちゃ撮らせていただきました。
暗いズーム&暗い映画館なので画質はお察しですが。

そのうち、みんなが撮っているのを見て監督も「自分も撮っていいですか?」と言い出し・・・




秘密集会感ってのは、立川シネマに行ったことのある方は分かると思いますが、シートの両肩に縦長の照明がついてるんですね。
それが舞台から見るとあたかもローソクのようで、なんだか怪しげな秘密集会みたいですね、と監督が仰っていたのです(笑





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上映終了後、登壇される新海監督。







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おお、生新海だ。

お姿を生で拝見するの初めてっす。

しかし、想像以上に画質が悪くて申し訳ない。
というかこれピント後ろに行ってるな・・・











話の切り出しは、ここ立川について。
監督は以前立川の日本ファルコムに勤務していた(初めて知りました)ということで、立川にはなじみがあるとのことでしたね。
イース2とか懐かしい名前が出てきました。
自分のファルコムの記憶はドラゴンスレイヤーとかブランディッシュあたりで止まってますが・・・


監督からの、「遠くからいらっしゃった方は?」という問いかけに対して。
最初山口から来た人が声を上げ、その時点で会場がおお~っとなったのですが、
なんとさらにつわものが。


ラオス。


え、羅雄?どこ県?
って一瞬思っちゃうほど非現実的な響きでしたね(笑
お顔は分かりませんでしたけど、発音は普通の日本人でした。ラオスにお住いの方がこのイベントのために急きょ帰国したってことでしょうか・・・
すさまじいエネルギーだ。
というかラオスで君の名は。見れるの?




同じく監督からの、「初めてご覧になった方はどれくらいでしょうか」という問いかけに対しては、パラパラと手が上がりました。
とはいっても1割もいませんでしたね。まあ封切りから3週間も経ってるし、監督の舞台挨拶に来るような人達ですから・・・

でも、初めて見る人が同じハコに(それなりに)いると、自分の気持ちも新鮮に保てるような気がします。
笑えるポイントで笑い声が起こり、泣けるポイントで鼻をすするのが聞こえると、
自分の感受性も豊かになってより作品に感情移入できるというか。(流されているとも言う
今回の上映ではそういうリアクションが全く起きませんでしたから(まあ何度も見てる猛者達ですし)、ちょっと物足りなかったですね。



司会進行役である東映の広報の方から少し現状の説明が入りました。
3週間で観客動員数500万人を突破、売上62億に到達ということです。
売上についてはオフレコ内容もありましたけど、まあすぐに発表されるでしょう。

監督いわく、最初は10億超えればOK、進めていくうちに欲が出てきたけどそれでも20億出れば大成功だよね、ということだったようです。
それがまさかこのような状況になるとは予想だにしなかったと。
うん、我々も全く予想してなかったですね(笑




これだけのヒットとなって、以前と変わったことは?という監督への振りに対して。

「すごい昔の友人から連絡が来るようになった(笑
瀧くんみたく、「誰?お前」みたいなことになった」
とか・・・
やっぱり有名になるとそういうこと、あるんですね。




また、
「日常に自分の映画があることが不思議。
映画館の前を通ればポスターが貼ってあるし、朝のニュース番組で特番が組まれてるし」

ワイドショーで踊る新海誠の文字・・・自分もちょっと不思議な気持ちになっちゃいます。
まあ、やっぱりテレビの力ってすごいよね。




あと、娘さんが生意気になったらしい(笑
テレビの映画ランキング見て○○に勝ったね!と誇らしげになったり、
お父さんコンビニ行って大丈夫?ばれちゃうよ!みたいな心配をしてくるらしい。
そのたびに監督は「そんなことないよ」となだめているらしいのですけど。
いやー可愛いじゃないですか。



逆に、変わらないことは?という問いに対して。

「もらう感想の量は増えたけど、前から知ってくれてる人も新しく知ってくれた人もその熱量は変わらない。
もっと思いもかけないことが起こるのかと思っていたが・・・
自分は変わっていないつもりだし、見た人の熱量も変わらない。
ああこういう風に物を作っていったらいいんだな、と」




あとは神木君。
何かにつけて監督の以前の作品のスクリーンショットを送りつけてくるらしい。
また、監督が風邪ひいたときのは秒速5センチメートルのセリフでお見舞いして来たり。
(溶けそうなアスファルトが~、なんとかが~って、要は寒暖の差が激しいですからねーというのを秒速の言い回しで表現する

神木君の仕事ももう終わっているはずですが、まだまだ(一層?)変わらない情熱を抱き続けているようです。





村上春樹を引き合いに出して。
村上春樹も突然売れるようになった作家ですが、売れるほど孤独感を感じるようになったということを小説に書いていたそうです。
「自分も今ひょっとしたらその「突然売れ出した」という部類に入るのかもしれないが
(という言い回し、本当に新海監督って謙虚な人なんだなと思います)
そして村上春樹のような気分になるのかと思ったけど、全くそういうことはなかった。
君の名は。の小説は90万部越え、そのうち100万部に届きそうだけど、自分も周りも変わらない」




全体的に、何も変わっていないということを強調されることが多かったですね。
これはひょっとすると、少し違った作風で急にブレークした新海誠を見て複雑な気持ちになっている昔からのファンに対するメッセージを含んでいるのかもしれません。
自分は変わっていない、これからも新海誠の作品を作っていくよ、という。




そろそろ時間ということで(短けぇ)、お決まりの質問タイム。

・過去の作品と作風が少し違うように思うが?

「沢山のスタッフと話し合いながら作ってきた。
奇跡を起こすのを考えたのは3.11がきっかけ。
あんなことが起きなければよかったのにという願いをテーマにしてもいいんじゃないか、と」



・なぜ瀧くんなのか?

「なぜ瀧くんなのか?とか、いつ恋に落ちた?とかよく聞かれるけど、あえて描いていない。
皆、誰かを好きになったって分かるのはその人を好きになってからだし、その理由がなくてもいいと思った。
特定の理由付けをしてしまうと、その理由にはまらない人(つまり観客は皆)が我が事とは思えないようになってしまうと思った」

好きになるきっかけ、ですね。
そりゃ何かのイベントで「トゥンク…」ってなることもあるでしょうが、そういったことは創作寄りの出来事のような気もします。
現実にはその人と過ごした日々を糧にして、少しずつ思いが育っていく。
劇的なイベントがなくとも気が付けばその人のことばかり考えている。
それが恋に落ちるってことなんじゃないかな(どうした俺

自分も、「好きになったきっかけが描かれていない」と思っていたクチですが、監督の言葉でちょっとすっきりした気がします。





・今までの作品は主人公達だけで完結する話だったけど今回は様々な人物が関わっている?

「高校生だけで奇跡を起こして町を救うという話にしてはいけないと思っていた。
3.11でもそうだったけど、大きなものを救うにはどうしても政治(行政)の力が必要であり、
それが政治に求められているものであるとも思っている。
見ている人が、自分たちの世界の出来事と思えないようになってしまってはいけない」

テッシーの「最後は行政に出てきてもらわんと」というセリフ、妙にリアリティあって頭に引っかかっていたのですが、なるほどですね。




最後に。

「映画を作ることで生きている場所が少しでもいい場所になったらいいなと思って作った。
今まで以上の人に見てもらっているのは確かであり自分達にはまだやれることがある。
次回作でまたこんな風にお会いできればいいと思う。
本当にありがとうございました」






以上。

こちらこそ、こんな素晴らしい作品を生み出してくれてありがとうございますという気持ち。
新海監督の舞台挨拶は初めて拝見したのですが、とにかく謙虚な方で、でもしっかりとした芯を持っていらっしゃって。
この感性あってのこの作品群なのだということを実感できましたね。

話の端々に出てきた監督の「我が事と思えないような世界にしてはいけない」という言葉は、
初めて鑑賞したときに強く感じた、瀧くんと三葉ちゃんに対する気持ちの同調を見事に裏付けてくれました。
やはり監督本人からお話を伺うといろいろすっきりできますね。

しばらく上映は続くらしいですし、期間が長くなるとまた舞台挨拶の機会がありそうなので(そういう発言があった訳ではない)、
その時にはまたお話を聞いてみたいものです。




そういえば監督退場後、東宝広報の方から出た一言。
「極音上映だから音の話しようと思ってたけどできなかった」
いい感じに余韻を作ってくれましたね(笑

立川の極音は全体的に音量と重低音がプラスされており、まさにガルパンなどのアクションにはハマりまくります。
(音場がどうとかもっといろいろあるらしいがよく分からん)
君の名は。はあまりそういうシーンがないので極音設定がちゃんと生きるんだろうか?と不安に思っていましたが、
楽曲の音に深みが増したり(ギター音などは艶と低音増しでよく分かる)
人物の会話に呼吸を感じられたり(三葉ちゃんの吐息とか最高だね!)、
十分に楽しめました。
ちょっと席が端っこ過ぎたので、もっと中央に座れば極音をより味わえると思いますね。


後は、イマドキの大型映画館に比べるとスクリーンが小さいのが立川シネマの惜しいところ・・・
もうちょいデカくできんものか・・・



コメント

No title

私はもう5年は映画館に足を運んでいないんですが先日、新千歳空港の雪ミクぐるっとシアターでミュージックビデオプログラムを鑑賞し、やっぱり劇場は良いなあと再認識しました。(あれはシアターというより大きな会議室でしたが)

映画館は数える程度しか行ったことがないんですが、立川シネマのシート横のランプ、これ何なんでしょうね。
空席を判別するためのものなのか、上映中は消灯するんですかね?

新海監督の近況「すごい昔の友人から連絡が来るようになった…←呼んでもいないのに擦り寄ってくる人って大概自分に何かを求めてくる人たちですよね。

人と人との繋がりって結局は名誉や金銭といった利権(メリット)によるものなんだと思うようになりました。
「あの人といると楽しい、新しい知識が得られる」というのもメリットですし、大なり小なりお付き合いにはメリットがないと成立しない。

それが悪いこととは思いません。
絆=しがらみってことですね。

悪いとは思いませんが前者を善、後者を悪と自分に都合よく使い分ける人の言うことは眉に唾をつけて聞かねばならないと思います。

外乱に会しても信念を見失わずブレずに進むことってどんな仕事してても難しいです。

で、結局私は「君の名は。」を観ていません。
ディスクを買って小さなモニターで見ることになるかなぁ。

Re: No title

ひっきーさん、コメントありがとうございます。

立川のランプは何なんでしょうね。一律で点灯、消灯するので空席判別の仕組みでもありませんし。
別に足元を照らしてくれる訳でもなく、手元が明るい訳でもなく。
謎です(笑

映画館はいいものです。大スクリーンと大音響はもちろんですが、他の観客と意識を共有できるというところもいいところだと思っています。
だから、観客の反応がないとつまらないのですが って、これは記事にも書きましたね。
ただ、自宅でなにものにも邪魔されずひたすら作品の世界に没頭できるという点でBDにはBDなりの良さがあります。

「君の名は。」の大ヒットは嬉しい限りですけど、そろそろ減速してBDの発売に向けた動きを始めて欲しいなぁ・・・と思い始めている不良信者です(笑
映画館は十分堪能した。そろそろ、完全に閉じた環境で理性のガードを外して思いっきり作品に入り込みたい。


昔の人から連絡が来るようになったの下りは単なる笑い話として語られていましたね。監督自身は特に気にしていないようでした。
増える雑音にかき回されず、新海節を貫いて頂ければいいのですが。

最も自分は、ビュアな新海節より「君の名は。」のような若干異端とも思われる作風の方が好みなんですけどね(笑

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